歯を失ってしまう原因・年齢
歯を失ってしまう原因の割合は、年齢によって異なりますが、全体的な傾向として以下のようになっています。
- 歯周病(歯槽膿漏):約37%
- むし歯(う蝕):約29%
- 破折・脱臼などの外傷:約13%
- その他:約21% (根尖性歯周炎、歯の破折、矯正治療、先天的な欠損など)
※あくまで全体的な割合であり、年齢や生活習慣、個人の口腔衛生状態によって異なります。
特に、40歳以上では歯周病が原因で歯を失う割合が最も高くなります。
一方、若年層ではむし歯や外傷が原因となることが多いです。
上記の示す通り、一般的に、歯を失う原因として最も多いのは歯周病です。
歯周病は年齢とともに進行しやすい病気です。
そのため、年齢が上がるにつれて歯を失う人の割合も高くなる傾向があります。
また、厚生労働省の調査によると、80歳で20本以上の歯を残している人の割合は、年々増加傾向にありますが、まだ約50%程度です。
つまり、80歳までに半数以上の人が何らかの理由で歯を失っていることになります。
年代別の残存歯数は年齢が上がるにつれて残存歯数が減少する傾向があります。
例えば、60代では平均24本程度の歯が残っているのに対し、80代では平均15本程度まで減少します。
これらのデータを総合的に考えると、歯を失う年齢の割合は、以下のように推測できます。
・40代〜50代:歯周病が徐々に進行し始め、歯を失い始める人が増える。
・60代〜70代:歯周病やむし歯の影響が大きくなり、歯を失う人がさらに増加する。
・80代以上:多くの人が何らかの理由で歯を失っている。
あくまで個人差もありますが、口腔衛生状態や生活習慣によって大きく異なります。
歯を失う原因歯周病について
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨が炎症を起こし、徐々に破壊されていく病気です。
原因は、歯垢(プラーク)中の細菌。
初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯のぐらつきなどが現れます。
重症化すると歯が抜け落ちてしまうことも。予防には、毎日の丁寧な歯磨きと、歯科医院での定期的なクリーニングが不可欠です。
早期発見・早期治療が大切です。
歯周病についてはこちらの記事に詳しく記載しておりますので合わせてこちらの記事をご確認ください。
歯周病は感染症です
歯周病は感染症です。
歯周病菌と呼ばれる細菌が原因で、主に歯垢(プラーク)の中で増殖し、歯ぐきや歯を支える組織に炎症を引き起こします。
感染リスクとしては、以下のようなものが挙げられます。
・家族内感染:食器の共有やキスなどのスキンシップによって、家族間で感染することがあります。
・母子感染:妊娠中に歯周病が悪化すると、早産や低体重児出産のリスクが高まります。
また、出産時に母親から赤ちゃんへ歯周病菌が感染する可能性もあります。
歯周病菌は、お口の中だけでなく、全身の健康にも影響を与えることが知られています。
様々な病気になりうる歯周病
歯周病は、口の中だけの問題ではなく、悪化すると、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
以下のような病気のリスクが高まることが知られています。
歯周病は糖尿病になりうる
歯周病は糖尿病を悪化させ、逆に糖尿病も歯周病を悪化させるという相互関係があります。
歯周病と糖尿病の因果関係は以下の事が考えられます。
歯周病により炎症性サイトカインの増加
歯周病によって歯ぐきに炎症が起こると、炎症性サイトカインという物質が大量に放出されます。
この炎症性サイトカインは、インスリンの働きを阻害し、血糖値を上昇させる可能性があります。
歯周病によりインスリン抵抗性の増大
炎症性サイトカインは、インスリン抵抗性を増大させます。
インスリン抵抗性とは、インスリンが正常に作用しなくなる状態のことです。
これにより、血糖値が下がりづらくなり、糖尿病が悪化する可能性があります。
つまり、歯周病による炎症が、インスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを悪化させることで、糖尿病のリスクを高めると考えられています。
歯周病により心血管疾患
歯周病菌が血管に入り込み、動脈硬化を促進する可能性があります。
心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まると言われています。
歯周病により誤嚥性肺炎
口腔内の細菌が唾液と一緒に気管に入り込み、肺炎を引き起こすことがあります。
特に高齢者や嚥下機能が低下している方は注意が必要です。
歯周病により早産・低体重児出産
妊娠中に歯周病が悪化すると、早産や低体重児出産のリスクが高まります。
歯周病により早産・関節リウマチ
歯周病菌が関節の炎症を悪化させる可能性があります。
これらの病気以外にも、骨粗しょう症や腎臓病など、様々な全身疾患との関連が指摘されています。
歯周病の予防と早期治療は、全身の健康を守るためにも非常に重要です。
実は歯が残っている人ほど認知症にならない?
歯の残存数と認知症リスクに関する研究はいくつか存在し、興味深い結果が出ています。
一般的に、歯が多く残っている人ほど認知症になりにくい傾向があると言われています。
考えられる理由としては、
・咀嚼(そしゃく)による脳への刺激
よく噛んで食べることは、脳の血流を促進し、脳の活性化につながります。
歯が少ないと、十分に咀嚼できなくなり、脳への刺激が減ってしまう可能性があります。
・栄養状態の悪化
歯が少ないと、硬いものや噛みごたえのあるものが食べにくくなり、食事が偏って栄養状態が悪化する可能性があります。
栄養不足は、認知機能の低下につながることが知られています。
・口腔内の炎症
歯周病などの口腔内の炎症が、全身の炎症を引き起こし、認知症のリスクを高めるという説があります。
・社会性の低下
歯を失うことで、見た目が気になったり、会話がしづらくなったりして、社会的な交流が減ってしまう可能性があります。
社会的な孤立は、認知症のリスクを高める要因の一つです。
これらの要因が複合的に作用して、歯が残っている人ほど認知症のリスクが低いと考えられています。
したがって、歯を大切にし、口腔ケアをしっかり行うことは、オーラルフレイル・認知症予防にもつながると言えるでしょう。
オーラルフレイルとは、口腔機能の軽微な衰えのこと。滑舌の低下、食べこぼし、むせなどが兆候です。
放置すると、全身の衰弱や認知機能の低下につながる可能性があります。早期発見と適切なケアが重要です。
オーラルフレイル予防には、毎日の丁寧な歯磨きが重要です。
食事では、噛みごたえのあるものを意識して食べ、よく噛むことを心がけましょう。
また、舌や口周りの筋肉を鍛えるための口腔体操も効果的です。
発音練習や唾液腺マッサージも取り入れ、お口の機能を維持しましょう。

