痛くないのに歯がぐらぐらする原因は?
はじめに
痛くないのに歯がぐらぐらしたり、普段は痛くないけど食事中に少し痛んだりすることがあります。
出血や口の匂いも気になるかもしれません。
これらの症状は、歯周病の可能性があることを示しています。
歯周病というとあまり聞いた事がない人がいるかもしれません。
実は歯周病にかかっている人も多く厚生労働省の「令和4年 歯科疾患実態調査」によると、日本人の全年齢層のほぼ2人に1人が歯周病にかかっていると結果がでております。
歯周病は、時間をかけて少しずつ進行し、初めはあまり症状がないため、多くの人が気づかずに放置してしまうことがあります。
その間に病気が進行し、状態が悪化してしまうのです。定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。
今回は歯周病を含め痛くもないのに歯がぐらぐらする原因と治療方法についてお伝えしていきます。
歯がぐらぐらする原因

歯がグラグラしする原因として考えられるのは以下のケースが考えられます。
1.歯周病
2.歯の根っこに膿がたまってしまっている…
3.根に膿が溜まっている(根尖性歯周炎)
4.歯の根が割れてしまっている(歯根破切)
5.被せ物や差し歯が取れかけている
歯周病とはどんな病気?

歯周病は、細菌による感染で引き起こされる炎症性の病気です。
歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨が溶けてしまうことがあります。
そのため歯がぐらぐらする事もあります。
歯と歯肉の境目にあたる部分(歯肉溝)をしっかり清掃しないと、細菌がそこにたまり、歯肉が炎症を起こします。
その結果、歯肉が赤くなったり腫れたりしますが、通常は痛みはありません。
さらに病状が進行すると、膿が出たり、歯が揺れるようになります。
歯周病の原因
口の中には、約400~700種類の細菌が確認されています。
これらの細菌は定期的なケアを怠っていなければ問題ありませんが、ブラッシングが不十分だったり、砂糖をたくさん摂取すると、細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。
この物質を歯垢(プラーク)と呼びます。
歯垢は粘着性が強く、うがいしただけでは落ちません。
なんと、1mgの歯垢の中には約10億個もの細菌が住んでいると言われています。
この中には、むし歯や歯周病を引き起こす細菌も多く含まれています。
歯垢に含まれる細菌は歯肉に炎症を起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしてしまうことがあります。
その結果、歯を失う原因にもなります。
さらに、歯垢を取り除かずに放置すると、やがて硬くなり「歯石」という物質に変わります。
歯石は歯の表面に強く付着し、普通のブラッシングでは取り除くことができません。歯石の中やその周りにいる細菌は、歯周病を進行させる毒素を出し続け、病気を悪化させます。
歯周病を治すには定期的なケアが大事
以前は歯周病は病原菌を取りきる事が出来なかったため、不治の病と言われておりました。
しかし医療の発達により、進行を阻止することが可能となりました。
歯周病の原因はプラーク(歯垢)となりますので、増やさず減らしていく事が大事です。
以歯周病についてこちらにて詳しく解説しております。 よろしければ合わせてお読みください。 歯周病の原因
根に膿が溜まっている(根尖性歯周炎)

歯がグラグラしする原因として考えられるのは以下のケースが考えられます。
根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)とは、歯の根の先端にある組織に炎症が生じる病気です。
主な原因はむし歯や歯の外傷などで、細菌が歯の根に感染することによって引き起こされます。
この病気が進行すると、根の周りの骨が溶けたり、膿がたまったりすることがあります。
症状としては、歯の痛みや腫れ、膿の排出などが見られることがあります。
根尖性歯周炎は、適切な治療を受けないと、歯の喪失につながる可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
治療方法としては、根管治療が一般的で、感染した部分を清掃し、消毒した後に充填します。
場合によっては、歯を抜く必要があることもあります。
根尖性歯周炎の原因
根尖性歯周炎の主な原因は、細菌による炎症です。
具体的には、虫歯が進行して歯の内部にある神経(歯髄)が炎症を起こすことや、歯を強く打った際に歯の周りの組織(歯根膜)がダメージを受けることが原因とされています。
これにより、感染が広がり、根尖部での炎症が引き起こされるのです。
まとめると以下のような事が原因で根尖性歯周炎につながります。
むし歯(虫歯) | 深刻なむし歯が進行すると、歯の神経や血管が感染し、根尖部へと影響を及ぼすことがあります。 |
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歯の外傷 | 歯が折れたり、衝撃を受けたりした場合、内部の神経が損傷し、感染が生じることがあります。 |
不適切な歯科治療 | 根管治療を途中でやめたりすると、途感染した歯の処置が適切でない場合、再感染のリスクが高まります。 |
無菌治療の不足 | 根管治療時に無菌的な条件が保たれない場合、細菌感染が再発することがあります。 |
根尖性歯周炎は、これらの原因によって炎症が生じ、歯根の先端に膿がたまることがあるため、早期의診断と治療
根尖性歯周炎の治療

歯がグラグラしする原因として考えられるのは以下のケースが考えられます。
根尖性歯周炎の治療はまず、感染した歯髄や腐敗物、細菌を取り除きます。
しかし、根管は細くて複雑な構造を持っているため、歯の種類によっては治療が非常に難しいことがあります。
治療にかかる回数は症例によりますが、根管の形状が複雑な場合、治療が1カ月以上続くこともあります。
感染根管治療は進行度合いにもよりますが完治は難しく、治療中に唾液に含まれる細菌が根管に入らないように注意することが重要です。
もし治療がうまくいかない場合、感染が周囲の組織に悪影響を及ぼすことがあり、最終的には抜歯が必要になることもあります。
感染物質が取り除かれた後、根管の内部には再び細菌が侵入しないように、生体に無害なゴム状の素材でしっかりと塞ぐ(根管充填)必要があります。
このほかにも、歯を保存するために外科的に処置を行う「外科的歯内療法」という方法もあります。
感染根管治療を受けた多くの歯は、周囲の症状も改善しますが、歯髄が取り除かれるため、通常の健康な歯と同じようには再生や強化ができなくなります。
その結果、歯や根が脆くなり、割れ(破折)やすくなります。
このため、できるだけ早い段階で歯髄の健康を維持するための治療を受けることが大切です。
歯がぐらぐらする原因は歯根破切?

歯根破切(しこんはきり)は、歯根(歯の根っこ)の一部が損傷または折れてしまう状態を指します。
歯根破切になってしまうと折れた部分から最近が侵入し歯がぐらぐらしてしまったり、腫れたり膿がでてしまったりさまざまな症状を引き起こしてしまいます。
また日本で抜歯のきっかけとなってしまう症状の中で破切は歯周病、虫歯に続き3位となっております。
歯根破切の原因
歯ぎしり・食いしばりによる歯根破切 |
深歯ぎしりは、通常の噛む力よりも大きな力を歯にかけてしまいます。 そのため、歯の根や周りの組織に大きなダメージを与えることがあります。 特に長時間歯ぎしりを続けると、歯根に強い圧力がかかり、徐々にひびが入ることがあります。 この小さなひびが進行して歯根が割れてしまうと、痛みや歯の機能が悪くなることがあります。 また、歯ぎしりが続くと歯全体に均等な力がかからないため、特定の歯だけに負担が集中し、それが原因で破折が起こることもあります。 |
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不適切な歯科治療 |
歯髄(しずい)とは、歯の内部にある神経や血管のことです。 重度の虫歯の場合、根管治療という治療を行い、歯髄を取り除くことがあります。 しかし、歯髄を抜いた歯では、歯根が割れること(歯根破折)が多くなります。 これは、重度の虫歯で歯がすでに弱っている上に、歯髄を失うことでさらに脆くなってしまうからです。 |
既存の歯科治療 |
重度の虫歯で歯がかなり傷んでしまった場合、被せ物を取り付けるための土台を作る必要があります。 この時に使う金属の土台は、天然の歯よりも硬いため、歯の根に強い負担をかけることがあります。 その結果、歯根破切になってしまうこともあります。 |
症状としては、痛みや腫れ、歯の動揺などが見られることがあります。 治療法は、状態の重症度に応じて、抜歯や根管治療、クラウンなどが考えられます。
詰め物・被せ物や差し歯が取れかけている

こちらは一番わかりやすいですが、以前治療した被せ物・詰め物した歯が時間の経過とともにぐらぐらしてしまう事があります。
素材がプラスチック(コンポジット)の場合は保険が適用され低価格で治療ができますが、強度があまりないため、欠けてしまう事もあります。br />
以前治療した歯がぐらぐらしてしまった場合はできるだけ早く治療をする事をおすすめいたします。