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虫歯だけではない!子供のお口の病気

子供の口腔健康において、虫歯(う蝕)はよく知られた問題ですが、虫歯以外にもさまざまな口腔内の病気や異常が存在します。
歯の生え変わりや口腔の発育に影響を与える可能性があり、早期発見・対処が重要です。
以下は、子供に見られる虫歯以外の主なお口の病気や状態についてお話しします。

むし歯

ご存じかと思いますが簡単に虫歯についてお伝えいたします。
虫歯(むしば)、医学的には「う蝕(うしょく)」と呼ばれるものは、歯の表面が細菌によって侵食され、徐々に穴が開いたり構造が壊れたりする病気です。
子供から大人まで、口腔内の環境や生活習慣によって誰にでも起こり得る一般的な口腔疾患です。
特に子供の場合、乳歯や生え変わったばかりの永久歯はエナメル質が薄く、虫歯になりやすいため注意が必要です。
以下に、虫歯の概要、原因、症状、影響についてわかりやすく説明します。

むし歯

虫歯の原因

虫歯は、以下の4つの要因が重なることで発生します。虫歯の四要素

細菌(ミュータンス菌など)

口腔内に常在する細菌が、糖を分解して酸を生成。
歯垢(プラーク)内に細菌が蓄積し、歯を攻撃。

砂糖やでんぷんを含む食べ物・飲み物(例: お菓子、ジュース、ケーキ)。
頻繁な間食や長時間の糖の接触がリスクを高める。

歯の質

歯が酸にさらされる時間が長いほど、虫歯のリスクが増す。
例: 寝る前の甘い飲み物、歯磨き不足。

不十分なケア

歯が酸にさらされる時間が長いほど、虫歯のリスクが増す。
例: 寝る前の甘い飲み物、歯磨き不足。

その他のリスク要因

不十分な歯磨きやフロスの習慣。
唾液分泌の低下(唾液は酸を中和し、歯を保護)。
親の口腔内の細菌が子供に伝播(例: 同じスプーンを使う)。

虫歯の症状

虫歯の症状は進行段階によって異なります。子供は痛みをうまく表現できない場合があるため、親が注意深く観察することが重要です。

初期虫歯(エナメル質の脱灰) 歯の表面が白く濁る(白斑)。
痛みやしみる感覚はほぼない。
この段階ではフッ素塗布や歯磨き改善で修復可能。
エナメル質の虫歯 小さな穴や黒ずみ、茶色い斑点が現れる。
冷たいものや甘いものがしみる。
象牙質の虫歯 穴が深くなり、痛みが強くなる(特に熱いものや冷たいもの)。
食べ物が詰まりやすくなる。
歯髄(神経)への進行 激しい痛み(ズキズキする、持続的な痛み)。
歯茎の腫れや膿、発熱(感染のサイン)。
重度(歯根の感染) 歯が大きく壊れ、噛めなくなる。
歯根膿瘍(膿の袋)や顔の腫れ、全身への感染リスク。
子供特有のサイン 食事を避ける、特定の側で噛まない。 歯磨きを嫌がる(痛みによる)。

歯肉炎とは?

歯肉炎(しにくえん)は、歯茎(歯肉)が炎症を起こした状態を指す口腔内の病気です。
主に歯垢(プラーク)の蓄積によって引き起こされ、子供から大人まで見られる一般的な口腔トラブルです。
子供の場合、歯肉炎は軽度な場合が多いですが、放置するとより重い歯周病(歯周炎)に進行する可能性があるため、早期の対処が重要です。
特に、歯の生え変わり時期には歯茎が敏感になりやすく、注意が必要です。
以下に、歯肉炎の概要、原因、症状、対処法、予防についてわかりやすく説明します。

歯肉炎とは

歯肉炎の原因

歯肉炎は、主に以下の要因によって引き起こされます

歯垢(プラーク)の蓄積

歯垢は、細菌、食べかす、唾液が混ざった粘着性の膜。
歯磨きが不十分だと、歯や歯茎の境目に歯垢が溜まり、細菌が歯茎を刺激して炎症を引き起こす。

不適切な口腔衛生

歯磨きの頻度が少ない、磨き残しが多い。
フロスや歯間ブラシを使わないことで、歯と歯の間に歯垢が残る。

生え変わり時期の影響

乳歯が抜けたり、永久歯が生える際に歯茎が敏感になり、炎症を起こしやすい。
新しい歯の周囲に歯垢が溜まりやすい。

栄養不足

ビタミンC不足(歯茎の健康を保つために必要)。

その他の要因

ホルモンの変化(思春期の子供でまれに影響)。
口呼吸(歯茎が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなる)。
ストレスや免疫力の低下。
歯並びの悪さ(磨きにくい部分に歯垢が溜まる)。
特定の薬(例: 抗てんかん薬)や全身疾患(例: 糖尿病)が歯茎の炎症を悪化させる場合。

歯肉炎の症状

歯肉炎の症状

子供の歯肉炎の症状は、軽度から中程度の場合が多く、以下のようなサインが見られます。子供は不快感をうまく表現できないことがあるため、親が観察することが重要です。

歯茎の見た目の変化 健康な歯茎(ピンク色、引き締まった状態)に対し、赤く腫れる。
歯茎がブヨブヨしたり、光沢がある。
出血 歯磨きやフロス使用時に歯茎から出血する(特に軽く触れただけで)。
不快感 歯茎がムズムズする、軽い痛みやかゆみ。 子供が歯磨きを嫌がる(痛みや不快感による)。
口臭 健歯垢や炎症による口臭が気になる。

先天性欠如歯

先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)は、生まれつき特定の歯が形成されない状態を指します。
歯の芽(歯胚)が発育段階で作られず、結果として乳歯や永久歯が欠如する先天的な異常です。
この状態は比較的まれですが、子供の歯の生え変わりや口腔健康に影響を与える可能性があるため、早期発見と適切な管理が重要です。
以下に、先天性欠如歯の概要、原因、症状、診断、対処法についてわかりやすく説明します。

先天性欠如歯

頻度

乳歯では約0.1~2%の子供に発生(比較的まれ)。
永久歯では約2~10%(特に親知らずを除く歯で3~7%程度)。
女児にやや多い傾向。

よく欠如する歯

永久歯/第二小臼歯(奥から2番目の小さい歯)、上顎側切歯(前歯の隣)、親知らず。
乳歯/側切歯や犬歯が欠如する場合が多い。

影響

歯並びや咬合(噛み合わせ)に問題が生じる可能性。
欠如した歯の周囲の歯が移動し、隙間やズレを引き起こす。
審美的な問題(特に前歯の場合)や咀嚼機能への影響。
子供の自信や発音に影響する場合も。

先天性欠如歯の原因

先天性欠如歯の正確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与すると考えられています

遺伝的要因 家族歴がある場合、子供にも発生しやすい(親や兄弟に欠如歯がある場合)。
特定の遺伝子変異が歯胚の形成を妨げる。
胎児期の影響 妊娠中の母親の栄養不足、薬剤使用、感染症(例: 風疹)。
胎児の歯胚形成期(妊娠6~12週頃)に何らかの障害が起こる。
全身疾患や症候群 外胚葉形成不全症: 歯、髪、爪、汗腺の発育異常を伴う症候群で、複数の歯が欠如する。
口唇口蓋裂: 唇や口蓋の形成異常と関連して欠如歯が見られる。
ダウン症やその他の先天性疾患で発生率が高い。
環境的要因 まれに、放射線や化学物質への曝露が影響。
進化的な要因 親知らずの欠如は、現代人の顎が小さくなり、進化的に不要になった結果とされる。

先天性欠如歯の症状

先天性欠如歯は、歯が生えてこないことで気づかれることが多く、以下のような特徴があります。

歯の欠如 特定の歯が乳歯や永久歯の生える時期になっても生えない。
乳歯が欠如している場合、永久歯も欠如する可能性が高い(乳歯の下に永久歯の芽がない)。
隙間や歯並びの乱れ 欠如した歯のスペースに隣の歯が移動し、隙間やズレが生じる。
咬合(噛み合わせ)が悪くなる場合がある。
審美的な問題 前歯が欠如すると、見た目や発音に影響。
子供の自信や社会的な活動に影響する場合。
関連症状 ま欠如歯が複数ある場合、顎の成長や咀嚼機能に影響。
全身疾患(例: 外胚葉形成不全症)の場合は、歯以外の症状(髪や爪の異常)が伴う。
注意 子供は症状を自覚しにくいため、親が歯の本数や生え変わりの遅れに気づくことが重要。

埋伏歯

埋伏歯(まいふくし)は、歯が顎の骨や歯茎の中に埋まったまま、正常に口腔内に生えてこない状態を指します。
乳歯や永久歯のどちらでも起こり得ますが、特に永久歯で問題となることが多く、子供の歯の生え変わりの遅れや歯並びの異常の原因となることがあります。
早期発見と適切な対処が重要で、放置するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

埋伏歯

埋伏歯の種類

完全埋伏: 歯が完全に骨や歯茎の中に隠れている状態。
部分埋伏: 歯の一部が歯茎から見えるが、正常に生えきらない状態。

頻度

永久歯でよく見られ、特に**上顎犬歯**(糸切り歯)や親知らず(第三大臼歯)に多い。
子供では、6~12歳の生え変わり時期に発覚することが一般的。
人口の約1~5%で発生(親知らずを除く)。

影響

歯並びや咬合(噛み合わせ)の乱れ。
隣の歯への圧迫や損傷。
歯茎の腫れ、感染、嚢胞(のうほう)形成。
審美的な問題(特に前歯や犬歯の場合)や咀嚼機能の低下。

埋伏歯の原因

埋伏歯が発生する理由は、以下のような要因が関与します

顎のスペース不足 顎が小さく、歯が生えるスペースがない。
隣の歯が邪魔をして萌出(生えること)が妨げられる。
歯の向きや位置の異常 歯が骨内で横に倒れている、斜めになっているなど、正常な方向を向いていない。
遺伝的要因 家族に埋伏歯や歯並びの問題がある場合、遺伝的に発生しやすい。
乳歯の問題 乳歯が抜けずに残る、または早く抜けすぎると、永久歯の萌出経路が乱れる。
全身疾患や症候群 口唇口蓋裂、ダウン症、外胚葉形成不全症などでリスクが高まる。
外傷や障害 歯や顎への衝撃(例: 事故や転倒)が歯胚の位置をずらす。
過剰歯(余分な歯)が埋伏歯の道を塞ぐ。
その他 厚い歯茎や硬い骨が歯の萌出を妨げる。
栄養不足やホルモン異常が歯の発育に影響。

埋伏歯の症状

埋伏歯は、歯が生えてこないことで気づかれることが多く、以下のような症状が現れます

歯の外観 小さく、未熟な形(通常の乳歯より小さい、または根が未発達)。
色は白っぽいか、やや黄色がかる。
歯がグラグラしている場合が多い(根が弱いため)。
授乳時の問題 赤ちゃんが授乳中に歯で乳首を傷つける(母親が痛みを感じる)。
赤ちゃん自身が歯による不快感で授乳を嫌がる。
口腔内の影響 歯が舌や頬の粘膜を刺激し、潰瘍や傷を引き起こす。
まれに、歯が気道に落ちるリスク(特にグラグラしている場合)。
関連症状 歯茎の軽い腫れや赤み。
全身疾患が関与する場合、歯以外の異常(例: 皮膚や髪の異常)が伴う。
注意* 先天歯は通常、正常な乳歯だが、過剰歯(余分な歯)の場合は将来の歯並びに影響する可能性がある。

上皮真珠(じょうひしんじゅ)

上皮真珠(じょうひしんじゅ、Epithelial Pearl)は、新生児や乳児の口腔内に現れる小さな白い粒状の構造物で、通常、歯茎や口蓋(口の天井)にできる良性の嚢胞(のうほう)です。
医学的には「上皮性嚢胞」や「ボーンの結節(Bohn’s Nodules)、エプスタイン真珠(Epstein’s Pearls)」などと呼ばれることもあり、非常に一般的な現象です。
先天歯とは異なり、実際の歯ではなく、口腔内の上皮組織が閉じ込められたものですが、見た目が似ているため混同されることがあります。
以下に、上皮真珠の概要、原因、症状、対処法についてわかりやすく説明します。

上皮真珠(じょうひしんじゅ)

上皮真珠とは

定義
上皮真珠は、胎児期に口腔内の上皮細胞(皮膚や粘膜を形成する細胞)が閉じ込められ、角質や細胞の破片を含む小さな嚢胞を形成したもの。歯や骨とは無関係の良性構造。
頻度
新生児の約60~85%に見られる非常に一般的な状態。 特に正期産児(予定通りに生まれた赤ちゃん)に多く、早産児でも見られる。
種類と名称
エプスタイン真珠/ 口蓋の中央(正中口蓋縫合)に沿って現れる白い嚢胞。
ボーンの結節/歯茎の縁や側面に現れる嚢胞。
歯槽堤嚢胞/歯茎(歯槽)にできる類似の嚢胞。
これらはすべて上皮真珠の一種で、位置や発生時期により呼び方が異なる。
影響
授乳時の問題(母親の乳首の痛みや赤ちゃんの不快感)。
歯がグラグラしている場合、誤って飲み込むリスク。
口腔内の粘膜や舌に傷をつける可能性。

上皮真珠の原因

上皮真珠は、胎児期の口腔発達過程で発生します。主な原因は以下の通り

胎児期の上皮残渣(ざんさ) 口腔の粘膜や歯茎を形成する上皮細胞が、発育中に閉じ込められる。 これが角質や細胞の破片を蓄積し、嚢胞を形成。
歯胚形成の副産物 乳歯の歯胚(歯の芽)が形成される際、歯槽(歯茎)の上皮が部分的に残る。
この残渣がボーンの結節や歯槽堤嚢胞となる。
遺伝的要因 特定の家族で発生しやすい可能性があるが、明確な遺伝的関連は不明。
その他 胎児期のホルモンや栄養状態が影響する可能性(証拠は限定的)。
全身疾患や症候群との関連はまれ。

上皮真珠の症状

上皮真珠は、見た目で気づかれることが多く、以下のような特徴があります

歯の外観 歯茎(特に下顎や上顎の歯槽堤)や口蓋に、白または黄白色の小さな粒(1~3mm)。
単独または複数(数個~十数個)現れる。
硬く、触ると弾力がある(歯のように完全に硬くない)。
位置 エプスタイン真珠: 口蓋の中央(正中)に沿って。
ボーンの結節: 歯茎の外側や縁。
歯槽堤嚢胞: 歯が生える予定の歯茎の表面。
症状 通常、痛みや不快感はなく、赤ちゃんの授乳や行動に影響しない。 見た目が先天歯や口内炎と似ているため、親が心配する場合がある。
自然消滅 生後数週間~数ヶ月で、嚢胞が破れたり吸収されたりして自然に消える。

歯並びの乱れ

子供の歯並びが悪くなる原因は、遺伝的な要因から生活習慣、口腔内の状態まで多岐にわたります。
歯並びの乱れ(不正咬合)は、見た目だけでなく、咀嚼(そしゃく)、発音、口腔健康、さらには子供の自信や生活の質に影響を与える可能性があります。
以下に、子供の歯並びが悪くなる主な原因をわかりやすく説明します。
早期に問題を察知し、予防や対処が可能になります。

歯並びの乱れ

歯並びが悪くなる原因は?

原因
歯並びや顎の形状は、親から子へと遺伝する傾向があります。
具体例
顎の大きさ: 親が小さい顎や大きい歯を持つ場合、子供も顎に歯が収まりきらず、ガタガタ(叢生)になりやすい。
歯の形状: 大きすぎる歯や小さすぎる歯、歯の数が異常(過剰歯や先天性欠如歯)。
咬合パターン: 出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、開咬(前歯が噛み合わない)などが遺伝。
特徴: 家族に歯並びの悪い人がいると、子供も同様の問題を抱える可能性が高い。

口腔習慣(癖)

概要 子供の日常的な癖が、歯や顎の成長に影響を与え、歯並びを乱す。
指しゃぶり 2~3歳以降も続く指しゃぶりは、前歯を前方に押し出し、出っ歯や開咬を引き起こす。
舌の癖 舌で歯を押す癖(舌突出癖)が、前歯の隙間や開咬を招く。
口呼吸 鼻づまりなどで口呼吸が習慣化すると、顎の発育が異常になり、歯並びが乱れる(例: 狭い上顎、ガタガタの歯)。
爪噛みや唇噛み 歯に不自然な力をかけ、歯の位置をずらす。
特徴 癖は乳歯期(3~6歳)や混合歯列期(6~12歳)に影響を及ぼし、早期に矯正することで改善可能。

歯の異常

概要 歯の数、大きさ、位置の異常が歯並びを乱す。
過剰歯 余分な歯が正常な歯の萌出を妨げ、歯並びを乱す。
先天性欠如歯 歯が足りないと、隣の歯が移動し、隙間やズレが生じる。
埋伏歯 骨や歯茎に埋まった歯が、隣の歯を圧迫したり、正常な歯並びを妨げる。
歯のサイズ異常 大きすぎる歯や小さすぎる歯が、顎に収まらずガタガタに。
特徴 レントゲン検査で発見されることが多く、矯正や外科的処置が必要な場合がある。

顎の成長異常

概要 顎の骨の発育が不均衡だと、歯並びや咬合が乱れる。
具体例 上顎または下顎の過成長/低成長: 出っ歯。

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